黒蜜の失敗

Published on: 6月 23 2012 by Shokolat

抹茶のムースで使う黒みつで失敗!?なんで??
上掛けに使う黒みつで、何度も 『 ??? 』 だったので方法を変えてリリースした物の・・。
やっぱり理由が知りたくて、ちょいとお勉強をして見ました。


まずはことの経緯から。
お店で当初引き継いだ 『 抹茶のムース 』 は、上掛けは抹茶リキュールで緑色にしたナパでした。
私はこれをどーーーしても!変えたかったんですね。
アルコールが抜けても、お酒な風味の緑色のナパ。ムースは抹茶。そしてジェノワだけ。
味が単調だし見た目も納得いかないから、いつか変えたい。そうずっと思っていたのです。
そこで、上掛けに黒みつに変えて、他の調整を加えリリース!!

・・の、筈でした。
ここから失敗談が始まります……。


▲ すっかりお馴染みになった、リニューアル後のムース、黒みつ掛け

当初緑色のナパを掛けていたので、なにも考えず 黒みつ+ナパージュ で上掛けを作成したのです。
んが!!!
使用するナパは加水加熱で使うタイプ。水、黒みつ、ナパージュ。
温めると次第に分離していきます。
え、なんでなんで??

ナパージュを増やしてみる=分離
黒みつを黒糖+水に変えてみる=まるで意味なし

どうあっても分離してくれます。
何がどうやら理解できず、結局はゼラチンでゼリーにして上掛けにすることで決着はついたのでした。
(ケーキ屋時代に黒みつゼリーは作っていたので、ゼラチンは大丈夫だとわかっていたので・・)

でも。でもでも。
なんで分離したの?何が原因?他の材料なら平気なの??とずっと疑問に。
そんな訳で比較してみましたー。

黒糖と水はそれぞれ同じ比率にして、凝固剤を変えています。
左から、アガー、ゼラチン、ナパージュ。
アガー:寒天の一種、海草から抽出したカラギーナンが原材料
ゼラチン:動物性コラーゲン
ナパージュ:艶出し用ゼリー、原材料はペクチン、その他で構成

見た目はゼラチンは艶があって透明感もあり、圧倒的に美しい。
少しマットになるアガー。
そしてグズグズに分離しているナパージュ(笑)
味的には、ゼラチンが最も黒糖の味をダイレクトに感じられて、舌の上でさらりと気持ちよく溶ける。
アガーは寒天に近いもっちり感で、ゼラチンより黒糖は和らいでしまう。
ナパージュは元々酸味も加わっている為に、酷い味に・・。また、黒糖の味が1番感じにくく、ザラザラぶつぶつと分離して酷い代物。
・・と言う結果に。
ゼリー単体としては、ナパージュを使うことはまずないとして(笑)
アガー、ゼラチン、どちらも適材適所でいけますね。

では何故ナパージュ+黒糖が写真のように分離してしまったのか。
まず、ナパージュはペクチンで作られていますが、ペクチンにも種類があります。

  • HMペクチン=糖度55%以上、pH3.0(酸味)付近でゲル化。酸性ゲルな為、酸を加えると急激にゲル化が始まる。
    高糖度ジャムやパート・ド・フリュイ等に使用する。
  • LMペクチン=糖度、pHには関係なく、カルシウムイオンやその他二価金属イオンの存在でゲル化する。
    標準的なジャムやフルーツソース類、艶出しゼリー(ナパージュ)に使用する。

さて。今回の問題になったのはナパージュと黒糖の関係。
ナパージュに使用されているのはLMペクチン(もしくはNHペクチン)
そもそもLMペクチンのゲル化は上記の条件が必要な訳ですが、ナパージュにはそれを補うよう成分が添加されています。
でも、そのゲル化に必要な成分が過剰であった場合に分離するとか・・?

・・と、調べていてひとつ、わかりました。

黒糖にはカルシウム等二価イオンが多量に含まれている、とのこと。

これかー!?

黒糖の味を強くしたいとなると、黒糖が増えます=カルシウム等二価イオンも増えます。
本来ペクチンを助けるはずのこやつが、多すぎて余ります、悪さします=分離

という解釈に(安易)

でも、例えば黒糖にゲル化を阻害する成分があるやもしれないですが、そこまでは調べられず・・。
というか、ペクチンのゲル化について等々、もっと細かい勉強をしなくてはスッキリしないのかなぁ(苦笑)

しかし、なんでまたナパージュで最初挑んだのやら・・。
初めから素直にゼラチンで作ればよかったのに、自分でも謎ですが・・。
まぁ、でもお勉強にもなったことだし、めでたしめでたし。
・・と、いうことにしておこう。

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